塵ひとつ見当たらない恋

恋には魔物が住んでいる。

薄情な私は、相手の顔も声も覚えていない。

SNSを活用すれば現在進行形の相手を見ることができる。

きっと過去がよみがえり、ぶり返した風邪みたいに厄介になるに違いないと思い、開くことのなかったページの先。

どんなに見つめても、何も感じない。

彼の音楽を、声を聞いても何もかんじることもなかった。

なんで、私は彼がいいと思ったのか正直わからない。面影がどこにも見当たらない。

今、彼とすれ違っていても、気づくことはないと言い切れるほどに何も残っていなかった。

自分の薄情さや、盲目さを彼に伝えたらどう思うのだろう?

彼は「もう一度、出会ったとき、俺が後悔するぐらいいい女になってください。」

と言い残し、終わった関係。

私はいい女になれた気はちっともしない。

だけど、それが悔しくて、ふざんけんな・・と強く、強く、思ったから今も歌うことがやめられないでいる。

何を基準にいい女というのか、私にはわからない。

だけど、私らしさから目を反らし、誰かに幸せにしてもらおうと、相手の顔色を窺う恋はもうしないと決めた。

相手に自分の価値を委ねることをやめた。

心が折れそうになるぐらい、傷つき、立ち止まることがあったとしても

私は、歌うことだけは捨てられずに、歌うんだろうな。

そう、友達は笑いながら言うんだ。

自分がしたいと思うことを、ただバカみたいに真っ直ぐやり続ける。

それが物心つく前からある私らしさ。

周りと視線の先が違っても、好きなことには抗えない。

抗う必要もない、比べる必要もない。

そして、比べてしまう弱さも含めて私だから。

誰かを通じて自分の、弱さも醜さも知った、それでよかった。

出会いと別れを繰り返し、何を感じるか、何を感じれたか

感じることに蓋をして、相手のせいに全部してなかったことにはしない。

感じることは大切なことだから。

 

変えられない昨日のせいにするより、変えられる今日を、自分を変えればいいとそう思うんです。